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元銀行員としてメガバンクを盲信する友人に本気でネット銀行をおすすめした話し

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都市銀行(メガバンク)/地方銀行/信用金庫。学生や社会人であれば、給料を受け取るのために普通預金口座の開設は誰もが通る道だと思います。(給与が現金払いな企業にお勤めの人は除く)
 
とある知人の話しなのですが、給与受け取りの口座残高が、ある程度の金額になったら定期預金に預けて、1円でも多く利息をもらいたい、という男がいます。学生の時からコツコツと、酒もタバコもやらず浪費を抑えて貯蓄する、なんていう実に堅実な人柄なんですが、普通の銀行をメインバンクにしているなんて、もったいないと思います。
 
投資をやる関係で、住信SBIネット銀行に口座を開設し、MRFとしても使用できるハイブリット預金に振り替えてみたところ
  1. 預金利息が毎月決算(だいたいの銀行は年2回)
  2. 金利が一般的な銀行の約5倍(普通預金利息を0.02%と仮定した現状) 
と、予想外にいい感じだったので、ネット銀行をオススメしてみたところ、色々と議論になったので、やりとりの備忘録も兼ねて。
 
※現状ネット銀行は、住信SBIネット銀行の口座しか持っていませんので、以下その前提とします。

私「普通の銀行はココがダメ」

元銀行員の自分が言うのもなんですが、そこら中に支店を構える一般的な銀行(あるいは金庫)は、これからの時代まるでダメだと思います。ATMが近かったり、何かあった時、すぐに相談に行けるので、一見便利なように思えます。
 
しかし「給与の受け取り口座に指定すると、ATMの引き出し手数料が0円になる。」だとか、「コンビニATMとの提携でもっと便利に。」なんて、あたかもサービスが充実しているかのような謳い文句をよく見かけますが、ネット銀行では給与受取口座にわざわざ指定しなくとも、個人であれば払出し手数料0円なんて普通です。(法人の場合は有料のケースが多いようです。)
 
これは銀行の規模や、その支店の経営方針にもよりますが、窓口へ資産運用の相談に行こうものなら、格好の餌食となり、結果的に損をする可能性が高いです。
 
最近の銀行事情は、昔のようにお金をお客さんから集め、企業に融資するだけでは全然儲からないらしく、投資信託や個人年金保険を積極的に売って、企業として紹介手数料を貰わなければ、色々と厳しいようです。当然、手数料単価の高い商品を売りたいのが、銀行側の本音ですね。
 
窓口のお姉さんたちの他に、沢山の人間が組織の中で働いていて、その一人ひとりに人件費がかかっているわけです。自分が買いたいものより、銀行が売りたい物を売りつけてくる可能性が高い。また、解約する際にも一悶着ある、かもしれません。

知人「ネット銀行の入出金は、どうやるの?」

基本的にネット銀行は自分のATMを持っていません。しかし、前述で少し触れたように、ネット銀行はコンビニATMと提携しているのが当たり前で、預入れ/引出し手数料が0円なのも当たり前です。

 

セブン銀行以外は、出金に関する手数料無料の利用について、ひと月の回数制限がありますが、パチンコとかやる人のように現金出金が激しい人でなければ、問題の無い範囲だと思います。 

私「ただし、ネット銀行へ多量の預金を移し替える時は注意」

じゃあネット銀行を使ってみようかな、といざ口座を開設して、現金の預け替えをしようとする時は注意が必要です。

当たり前の話しですが、10万円やそこらのためにコンビニ強盗に入る人が世の中にはいるので、コンビニのように縦横無尽に人が出入りするような場所で、大金を出し入れするのは、よろしくありません。

また、これはATMの作り上のお話しなのですが、紙幣が一取引で50枚までしか処理できないATMもあります。(多量の現金を処理しようとすると、時間がかかります。)

安全に資金を移動させるには、やはり振込が一番なのですが、金額や方法によっては、それなりの手数料が取られます。ATMでキャッシュカードを利用して振込みを行う事が、一般的な手数料の節約方法です。ただし、キャッシュカードには資金移動の限度額というものが存在するため、一度にどれだけの資金移動ができるのか、限度額を確認する必要があります。

銀行窓口で現金振込を行う事は、銀行側にとってはリスクが高く、比較的高い手数料を取られます。(ちなみに銀行窓口の現金振込は、リスク/人件費/処理時間/処理介在人数、諸々の総額で、手数料金額よりも銀行は損をする計算らしいです。)

何をベストとするかは、個々のリスクの許容度によりますが、

  1. 引出し手数料を節約するために、地道に現金で移し替えをする。
  2. 多少の手数料は払うから、振込で一度に移し替えをする。

の、どちらかになるかと思います。

総括

色々と褒めちぎっておいてなんですが、リスク管理や、セキュリティに無頓着な人には、ネット銀行はオススメできません。色々お得な事と引き換えに、自己責任の度合いが飛躍的に高い、と言えます。(ネット銀行は、その辺りを口頭で説明する人件費をかけない業態です。)

なによりインターネットという不完全な環境に晒されている事自体が、大きなリスクです。ただし、ネットバンキングによる不正送金の被害額が、過去最悪を記録するこのご時世、銀行も全くセキュリティ対策を講じないわけではありません。

例えば、とある地方銀行のネットバンキングと、住信SBIネット銀行では、乱数表と呼ばれるセキュリティ対策を行っています。万が一、ネットバンキングで第三者にログインされても、実際に資金移動を行う際に、本人の手元にある表(乱数表)に記載されている、数値を幾つか入力しなければ取引が行えないという、二重ガードのような仕組みですね。

第三者が、取引用のパスワードと、乱数表の数値の全てを奪取しなければ、不正送金の被害は理論上、ないということですね。 

こういったネットバンキングが講じるセキュリティ対策の仕組みや、それでもカバーしきれないリスクをどこまで理解し許容できるか、よく考えた上でネットバンキングというものを利用する必要があると思います。

僕は冒頭に書いたように、ネットバンキングを利用したいのではなく、ネット証券を始めたら結果的に特をしていた、という流れです。証券業界はよくわかりませんが、証券会社の窓口も、銀行の窓口とおおよそ同じ感じだと思いますので、ネット証券で投資を始めようと思う人も含めて、一度ネット銀行も検討してみては?

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