待ちに待って発売と同時に購入したトラベラーズカンパニーのブラス万年筆を購入してから、早半年弱。
私が万年筆にハマったのは、コンバータを用いれば好きなインクが楽しめるという点が大きかったと思います。
しかし、ポケットサイズの万年筆である、トラベラーズカンパニーのブラス万年筆は、公式のコンバータは存在せず、現状ではブラックとブルーブラックのカートリッジが提供されているだけです。
では互換製品が無いのかと、ずっと探していたのですが、残念ながら存在しませんでした。
しかし、思わぬ発想の転換で好きなインクを詰める方法がありましたので、ここに紹介致します。ちなみに、これはカートリッジが存在する万年筆なら、どんな万年筆でも流用できる方法です。
インク以外に用意するものは、たったの3つ
当然、インクは好きなものを予め用意しておくとして、他に用意するものは下記の3つです。
- 使用済みのカートリッジを洗浄・乾燥させたもの
- シリンジ
- シリンジ用ノズル
シリンジとは、ざっくりいうと実験用の注射器のようなもので、ノズルは針のようなものです。(医療用ではありません)
敷地面積が大き目の東急ハンズの科学コーナーなどでバラ売りで、比較的安価な値段で手に入ります。
私の購入したものはシリンジとノズルで合計250円(税抜)でした。ノズルの方が高いみたいです。
感の良い方はもうお気づきかもしれませんが、以下が注入までの手順です。
手順1.使用済みのカートリッジを用意する
3つのうち右2つが今回使用する、使用済みのカートリッジです。
カートリッジ自体はブラス万年筆専用に発売されているブルーブラックのもので、インク切れになったカートリッジを水で洗浄し、鼻こより風の形にしたティッシュで内部の水気を拭き取り、何日か自然乾燥させたものです。
ヨーロッパ規格と呼ばれるそうですが、実寸が4センチ弱程度とかなり短く、私が他に愛用しているLAMYサファリのコンバータと比較すると、相当短いことがわかります。
注入のイメージ。ヨーロッパ規格のカートリッジは先が細いため、シリンジ用のノズルは注射針のように細いと無難です。
手順2.インクを吸入する
普段はブルーブラック系のインクばかりを使用しているので、今回は「真鍮製の万年筆から溢れる赤錆」をイメージし、去年の冬に銀座・伊東屋で購入した色彩雫の東京限定色・江戸紫をチョイスしてみました。
無論、万年筆側のペン先は事前によく洗浄しておく必要があります。
やはり、万年筆に何色のインクを吸わせてやるか考える時が一番楽しみですね。私は今回、「万年筆が血を求めているのだ」と中二病さながらにヘラヘラとしながら作業に当たりました。
写真では黒っぽく写っていますが、赤系のインクを吸入した注射器を見ていると、まるで採血をしているかのようで健康診断を思い出してゾクゾクとします。
ある程度吸入したら、カートリッジへインクを注入します。怪しいことをしているわけではありません。
何回かにインク瓶からの吸入と、カートリッジへの注入を繰り替えしたらほとんど作業終了です。やはり、まるで採血された血みたいに見えます。赤血球多め。
手順3.インクを注入したカートリッジを万年筆へ装着
手順というほどでもありませんが、通常のカートリッッジを万年筆に装着する時と同じことです。
ただし、再利用ということでカートリッジには穴が空いていますので、注入したインクがこぼれないように注意が必要です。ペン先を上にした状態で下からカートリッジを装着すると良いでしょう。
単純ですが、万年筆に使用済みのカートリッジを用いて好きなインクを使う手順はこれにて終了です。
余談ですが、公式のカートリッジのインクは乾きにくくてやや不満があったのですが、信頼と実績の色彩雫(iroshizuku)は乾きも早くて最高です。
手順4.注入器を洗浄する
注入器もインクの色が残りますので、コンバータを使用して万年筆を洗浄する時のように、水で洗浄します。
あとは乾燥させれば全工程の終了です。また以降にカートリッジのインクが無くなった時は、最初から同じ手順を踏むだけです。
まとめ
注意点としては、万年筆本体の洗浄はコンバータが無い分、コンバータがある万年筆以上にきちんと洗浄する必要がある、ということです。きちんと洗浄しないと、内部で残ったインクと混ざってしまい、思っていたのと違う色味になってしまう可能性があります。
思わぬ綺麗な色が出ればそれはそれで乙なものですが、狙わない限りそれも難しいかと。
というわけで専用のコンバータ無い時は、使用済みのカートリッジと実験用の注入器を利用すれば、どんな万年筆でも好きなインクが使えますよ!という記事でした。