最近、ライトノベル以上、文芸作品未満の小説をよく読んでいる気がします。
これは、読んだ本をブログで紹介するようになってから感じる読書そのものへの変化の1つです。
以前は、特定のお気に入りの作家の中から気に入った作品を選択していたのですが、多くの作家の本を読むことでより多くの物語に出会うことで、感性がより鋭くなっていくようです。
すでに話題になっている『いなくなれ、群青』。ついに読みました。
河野裕『いなくなれ、群青』『その白さえ嘘だとして も』PV|新潮文庫nex - YouTube
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。
捨てられた人が住む「階段島」
捨てられた人たちが、魔女によって集められ、支配された孤島・階段島。
人たちは一体何故、誰に、何のために捨てられてしまったのか。
そんな疑問とは裏腹に、主人公・七草は捨てられた事を受け入れ、何気ない日常を過ごすことを受け入れてきた。
一番会いたくなかった少女との再開
捨てられた事に対する不満なんて無かった七草は、ある冬の朝の海岸で、一番会いたくなかった少女に再会する。
真辺由宇。
一見すると、ただの男女友人同士の再会なのに、感動もなければ、確執もなく、それでも七草は階段島に真辺由宇が現れたことに内心で怒りを感じる。
彼女は、誰に、何故捨てられたのか。階段島の謎が深まる。
落書き事件と動き出した階段島の謎とは
奇妙だけれど静かな島の生活に、真辺由宇が現れた時から、大きな変化が生まれる。
暗黙の了解であった階段島のルールが、小学生の少年・相原大地が島に捨てられ、発見される事を契機に突然破られる。魔女が作ったルールを、魔女自らが破ったのは何故なのか。
そしてそんな喧騒の中、「星とピストルのイラスト」の落書き事件が発生する。
犯人は一体誰なのか、そして一見無意味で無害に思える犯人の目的は一体何なのだろうか。
そして、階段島の謎とは…。
【総合的な感想】階段島シリーズの開幕
本作品の終わり方からこれはこれで1冊で完結する物語としてありだと思いましたが、本作品『いなくなれ、群青』はどうやらこれから始まるシリーズ作品らしく、現に第二部『その白さえ嘘だとしても』が平成27年6月1日に刊行されました。
何だか息苦しくなるような青春時代の心だったり、偏屈した思考回路だったり、失くした訳でもないのに感じる喪失感に、どこか懐かしさを感じ、訳もなく切なくて少し泣きたくなるような作品でした。
今回読んだ『いなくなれ群青』は、新潮文庫nexというライトノベル以上の作品を謳っているレーベルから刊行されている作品で、ライトノベル愛読書も大衆文芸の愛読書も楽しめる、ありそうで無かったレーベルです。
新潮文庫nexは、ライトノベルレーベルではありません。「新潮文庫」という単一レーベルの枠組み、同じ売り場、同じ棚で、展開する作品群です!
「nex」には、二つの「次」の意味を込めています。今までの新潮文庫がカバーできていなかった「次」の領域へ。漫画やライトノベルの「次」に手に取れる小説へ。
【出典】新潮文庫nex 公式Twitterアカウントより
さっそく、続編にして階段島シリーズ第二弾の『その白さえ嘘だとしても』を新品で買ってしまいました。
また読了次第、記事にしたいと思います。