続編を所望しつつ書評記事の筆を置いた前作ですが、書店を徘徊していたところ続編が発売されていました。
といっても初版が8月ですので、かれこれこの記事を書いている時点で4ヶ月が経過している事になります。
同時に、前作の書評記事を書いたのが1年以上前のことですので、もうあれから1年経ったのかと思うと感慨深いものがあります。
諸事情あって2016年は、2015年の時ほど読書の時間が確保できませんでしたが、前作でとにかく感動した記憶だけは新しかったため、さっそく購入/読了いたしました。
幽霊が視えるようになったぼくは地縛霊の館川小梅さんと出会う。娘が今どうしているのか知りたいけどここから動けない…そんな小梅さんに頼まれ、代わりに会いに行く。そしてぼくは知ることになる。娘の鴬さんがずっと母親を憎んでいること。そこには、娘を想う母の愛が隠されていることを。少年が幽霊たちの魂を救う人気シリーズ第2弾。せつなくて、心が温まる。
季節は新しい夏。新たな出会いと登場人物たちの成長
いかんせん前作を読んだのが1年前でしたので、詳細な内容までは覚えていなかったのが正直なところでした。
しかし、事故がきっかけで幽霊が視えるようになった主人公と、おせっかで可愛い義妹などの登場人物のほか、訳あって成仏できなかった幽霊と供に未練を解決し、成仏へと誘うという連作短編であるという印象は強く残っていたため、前作から時間というブランクが有ったものの、支障なく読み進める事ができます。
続編である本書ですが、収録されているエピソードが少ないものの、前作と比較すると夏という季節に焦点を当てて書かれたものになっています。
普通は夏といえば青春を思い浮かべるかもしれませんが、本書では、お盆という死者がこの世に帰ってこられる短い季節が一つの軸になっています。
連作短編ではあるものの、基本的に前作のストーリーとの繋がりもあり、ふとした描写から1年以上前に読んだ内容を思い出したり、なかなかこれまでの読書生活では感じられなかった新たな体験も有りました。
また、主人公である少年・須玉明の複雑な家庭事情に少しだけ踏み込んだ描写が、全短編を通して窺えます。
全ての短編が暖かい結末で締められる構成は前作と変わらず、本書でも序盤からいきなり泣いてしまいました。
『さよならを言わない』相手が分かった
前作の書評記事の中で、『さよならを言わない』相手はいったい誰なのだろう、と疑問を残しました。
でも。
それでもぼくは -
君にさよならを言わないと、決めた。
ですが本作品では、その『さよならを言わない』相手がいったい誰なのか、さらりと3行ほどで書かれておりました。
何となく前作を読んで感じた事ではあったのですが、今後この『さよならを言わない』については、本作の明確なキーワードになりそうです。
また、終盤のおまけストーリーである「明の休日 sequels.2」まで読み進めると、今後も続編が発行されることが前提となっている様子が伺えます。
【まとめ】さらなる続編を希望する
本作は前作よりは若干ボリュームが少ないのですが、さらなる続編を匂わす内容となっています。
それは本記事の中で触れた、主人公である須玉明の過去の家族の事であったり、『さよならを言わない』相手のことであったり、はたまた新たに現れた恋敵(?)であったり。
私が本書の著者である七月隆文の作品を読むのは、今回で3冊目でしたが、全作品を通して会話が主体となっているため、普段はライトノベルを読む読者層でも読み進めやすいので、青春しちゃってる学生たち(中学生くらいから)にもおすすめできます。
ボリュームや文章の構成などから、ライトに楽しむことができた、というのが正直な感想です。
次に続編が出るとしたら、次は2017年の8月頃でしょうか。楽しみです。