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株式投資による資産形成に役立つおすすめの本7冊:ゆるく着実に収益を上げるために

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趣味で投資を行っています。

ただ、このブログではあまり投資をテーマとして取り扱っていません。というのは、普段はそれほどやることが無いためです。(FXやデイトレードのような忙しない投資手法には全く興味がありません。)

本業は普通のサラリーマンですので、マルチモニタでチャートと四六時中にらめっこなんて無理ですし、仮にそれが可能であってもそんな一喜一憂の世界は疲れるので絶対に嫌です。

私が実践している投資の手法は実にシンプルで、苦労は全くともなわないものです。

はじめにお断りしておくと、その手法は「1日数分で1月うん万円」といった一朝一夕で資産を築くようなシロモノではありません。むしろ、投資はその活動期間が長期にわたるほど有利になるものなのです。故に、証言者が少ないのかもしれませんが、まともな投資に関する書籍を読めば、このことはほぼ全ての本に共通して言われていることです。

多くの有用な投資ノウハウ書籍は、表現は変わりますが、一貫して述べている事は同じです。

では、なぜ複数の書籍を紹介しようと思うに至ったのかと問われますと、投資はその経験に応じて読める本が異なりますし、投資自体も納得した上で実行する方が合理的であり、実行後に下げ相場などに見舞われ不安に思う時が来ても、ここで紹介する書籍を読み返せば安心して投資活動を続けられる保険(お守り)となるためです。

はじめに

日本は先進国の中では金融リテラシ、つまりは金融に関する教育や知識が不足した人が多いそうです。

私も大学卒業後、とある銀行に入社しましたが、その時点での金融知識は完全なる素人でした。大学も文学系の学部卒でしたしね。

そこそこの知識を持ち合わせていると自負できるようになったのは、本社勤務になり自分の銀行の全体像が見渡せるようになった5年目ぐらいからの事です。

社会で生きていくには絶対にお金が必要で、「揺り籠から墓場まで」文字通り一生付き合う必要があるにも関わらず、日本人はお金の話をオープンにしないと言われています。個人的にこれには疑問しか抱きません。

お金を増やす方法なんてシンプルで、収益から支出を引いた数字を黒字化させ、余ったお金を投資に回す、たったこれだけの事です。

ただ肝心な投資方法には、残念ながら良い大学を出た頭のいい人たちが仕掛ける巧妙な罠がたくさんあります。実際、銀行員が窓口で勧めてくる預貯金を除いた金融商品のほぼ全ては地雷です。これは、銀行員時代に金融商品のセールス側に居たことがあるため、実体験に基づく実話です。

この記事で紹介する本では、何がよくて何が悪い金融商品なのか、そういう基本的な知識と具体的な手法が学べます。

『知らないと損をする池上彰のお金の学校』池上彰

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そもそも、お金とは何でしょう?金利とは?株とは?保険とは?GDPとは?あなたは説明できますか?わかりやすい解説で定評のある池上彰が、わかっているようでわかっていない、お金のしくみを徹底解説。基礎がわかれば、お金の流れがすんなりわかる。

その解説の分かりやすさで一世を風靡した、元NHKアナウンサー・池上彰の著書です。

職業柄なのか、基本的に中立的な立場で説明されているため、決定打に欠ける部分はありますが、説明書としては非常に読みやすく、お金に関する様々な豆知識が学べます。

裏を返せばポジショントークでは無いため、経済や金融に関するバイアスに汚染されていない基礎知識が学べる、とも言えます。

私は独身ですが、仮に自分に子供が居たのなら、物心が付いた頃に読ませたい教養書の1冊で、学校の教科書なんかを読むより手っ取り早くお金に関する基礎が学べる本です。

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』山崎元

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僕「先生、金融のこと詳しくないし、これからもお金のことを勉強しないと思いますけど、お金の運用なんてして大丈夫なんですか」
先生「大丈夫。君みたいなド素人でも、ポイントさえおさえれば年間プラス5%くらいの運用なら目指せるよ」
本書はこんなコミカルな会話形式で展開しますので、金融の知識がなくても楽しくお金のことが学べます。

非常にキャッチーなタイトルなのですが、著者は東京大学卒業のエリートで、数々の証券会社を渡り歩いた専門家です。

内容も金融リテラシがゼロな読み手でも分かりやすいように、すごくライトになっていますが、言ってることは何一つ間違っていません。

そこそこの投資経験を経て本書を読みましたが、聞き手の不安や既存の金融業界(主に銀行)の事情をズバズバと斬り捨てながら有益な事だけを発信しており、思わず現役の証券マンがここまで言っちゃっていいものなのか、とこちらが不安になるほどスッキリと書かれています。

元銀行員の私が言うのも難ですが、「お金を増やしたかったら銀行には近づくな」は本当にその通りです。

対話形式で分かりやすい構成ですので、金融の本は読みにくいと感じる人にとっては良いかもしれません。

『ほったらかし投資術』山崎元・水瀬ケンイチ

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わかりやすくて、手間いらずで、負けない。景気が良くても悪くても、のんびり待てる。しかもローコストなインデックス運用。確定拠出年金、NISAをうまく使いこなせば、鬼に金棒!ロングセラーのオリジナル版を、さらにわかりやすく、細かい疑問にも対応、税制を最大限に活用する方法も加わり、よりお得になってバージョンアップ。お金もたまり、時間の余裕もできる、最強の投資法を紹介します。

先の本でも紹介した、エコノミスト・山崎元氏と、カリスマ・インデックス投資ブロガー・水瀬ケンイチ氏の共著です。

私が実践している『インデックス投資』について、具体的に何をやれば良いのかはこの本に全て書かれています。

ネットの媒体にも数々なコラムを掲載されており、元銀行員目線で読んでも言っていることはぐうの音も出ないほどの正論で、どの媒体で氏の発言を読んでも一切筋がブレていない点も信頼が置ける根拠の一つになっています。

一方で、カリスマ・インデックス投資ブロガーの水瀬ケンイチ氏は、インデックス投資家の中では知らない人はいないほどの有名人ですが、本業はサラリーマンです。

ネットに著者のブログが存在し、インデックス投資家のための情報をかなり昔から数多く配信されており、ブロガーという側面に置いても畏怖の念を抱くほどの存在です。

同時に、普段は退屈なインデックス投資がいかに正しい手段なのか、等身大で配信されているため、同じインデックス投資家として励みにもなります。

『超簡単 お金の運用術』山崎元

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インデックス投信や日本国債を用いた投資方法の解説ほか、日本版ISA・通称NISA(ニーサ)や、確定拠出年金の運用方法など、コンパクトなのに端的に気持ちよく解説されています。

前述の『ほったらかし投資術』と併せて読む事をおすすめする1冊です。

お金に関するコラムも面白く、宝くじが競馬やパチンコよりもあり得ないほど収益率の低い博打であることは、本書を読んで始めてしりました。

個別株による株式投資でお金のことばかりを考えていた頃、「お金は使うためのもの(手段)であり、それ自体が目的ではない」という当たり前ですが、すごく大切な事を気付かせてくれた本です。

私は基本的にエコノミストと呼ばれる人々は全く信用していませんが(保身のための嘘つきが多いので)、山崎元氏だけは例外です。

ネット上のコラムで、『金持ち父さん』に憧れる意識高い系の大学生に対して、開口一番ご自身のことを『金持ち父さん貧乏父さん』になぞらえて、「好きなことが言えて、経済的に困らなければそれで良いという、金銭経済的な向上心が乏しいけれど気分良く働いている『上機嫌な貧乏父さん』が私です。」と語られていたのには笑いました。

『積立投資のすべて』星野泰平

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通常の投資では、保有する金融商品の価値が買ったときよりも下落していれば、嫌な気分になるだろう。価値が下がり、“損”が出ているのだから当然だ。しかし、月収の一部で買い続けるだけの「積立投資」なら、必ずしもそうではない。むしろ相場がどんなに暴落しようが、たとえ元の値段に戻らなくても、「ある水準」に戻れば大丈夫という安心感があるのだ。本書では「ドルコスト平均法」とも呼ばれ、富裕者の正攻法とされているこの投資スタイルの性質と活用法を多角的な分析で浮き彫りにする。

いわゆる、ドルコスト平均法の力のすごさに特化した本です。

ドルコスト平均法とは、値動きのある金融商品を購入する場合に、毎月(定期的に)一定の金額ずつ購入することにより、毎月(定期的に)一定の数量ずつ購入する場合よりも有利な取得価額に分散をすることができるという投資法です。
【出典】投資信託とドルコスト平均法

まとまった投資資金の無い投資家は、毎月一定額でインデックス投信を積み立て購入して行くのが一番現実的な投資活動になります。

ドルコスト平均法は長期の投資運用が前提となる手法のため、例えばリーマンショックのような世界恐慌が起きると、不安になって途中で積立を辞めてしまう人が出てくるそうです。

しかし、積立投資家にとっては暴落時ほど嬉しい時期は無いのです。それが何故なのか、また一定額を積み立てている途中で不況が起きても、その後に市場経済が回復した際の資産価値の変動について、豊富な具体例をもってドルコスト平均法の利点が語られます。

ちなみに、私がドルコスト平均法のすごさを知ったのは、会社の持株会でずっと積立買付をしていた自社株が、特に気にせず放置をしていたところ、15%近いプラスの損益率を計上していた時でした。

『敗者のゲーム』チャールズ・エリス

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投資で成功するというのは、難しい証券分析などの専門知識や経験を身につけることではなく、ましてや短期的に市場を出し抜こうとすることでもない。市場平均利回りを上回る(=市場に勝つ)ことがきわめて難しくなった今、最も簡単かつ結果の出る方法は、インデックス・ファンドを活用することである。全米累計100万部を超えるロングセラーの最新版。プロ・アマ問わず幅広い投資家に向けたメッセージとして、時代を超えて読み継がれる運用哲学のバイブル。

ほとんどの投資家は、市場の勝負で負けるのではなく、単純に自滅しているだけであることを論理的に解いています。

「アマチュアのテニスプレイヤーがプロになれないのは、レシーブに徹していればたいてい勝てるにも関わらず、強気に攻めようとすることから失敗し、やがて自滅するから試合に負ける」という例え話があるのですが、中学時代にテニス部に所属していた身としては、これが非常に納得のいくものでした。

これになぞらえて、短期で資産形成を狙う投資家を「敗者のゲーム」の参加者と揶揄しているのは、ネーミングセンスもすごい。

原書の初版は1985年でという古い本で、専門用語が多用されているため、少々取っ付きにくいところがありますが、手許に置いておく価値は十二分にある名著です。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール

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全世界で読まれている「投資のバイブル」
1973年の初版以来、全米累計150万部を超え、投資の名著として絶賛されるベスト&ロングセラー、A Random Walk Down Wall Streetの最新邦訳がいよいよ登場。
本書の主張は「インデックスファンドへの投資がベスト」というシンプルなもの。なぜ他の投資方法がインデックス投資に比べて劣っているのかを、明確なデータを示して論じている。過去のデータを鑑み、アクティブファンドの長期リターンが市場平均を下回ることを証明し、「猿がダーツで選んだポートフォリオを運用するのと等しい」とこき下ろすあたりは、読んでいて痛快かつ明快である。
硬派な内容でありながら、数式はほとんどなく、グラフや表を多用しており、初心者にも理解しやすい。間抜けなテクニカル分析手法や、チューリップからITに至るバブルの話など、読み物としても面白く読める。

恐らく、ここまで紹介してきた全ての投資本の原点にして聖典と呼べる、不朽の名著です。

デイトレードや、テクニカル分析と言った小手先の投資手法ではなぜ市場で勝てないのか、全ての投資家の疑問に事細かに解説されています。

私は従来、テクニカル分析で市場からそこそこの収益を甘受していました。しかし、それにおいても本書で指摘されている事は全てが核心を突いており、自分が行っていたテクニカル分析という手法に疑問を抱き、数々の投資本とともに捨てるに至りました。

本書自体のボリュームが非常に分厚く、専門書の翻訳版ですので、少々読みにくさを感じることは否めません。ですが、繰り返し読むことで新しい発見が得られる指南書であることには違いありません。(私はいつでも持ち歩きたいため、今年になってやっと発売された電子書籍版で買いました。)

蛇足ですが、前述で紹介しているインデックス投資ブログ『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー』は本書のタイトルから名付けられたそうです。

おわりに:投資から学ぶことはすごく多い

同世代と比較すると、資産額だけで言えば健闘している方だと思うのですが、まだ30歳ですので、よほどの事が無い限り定年退職となる30年後までは働くつもりでいます。

僭越ながら投資で得た収益だけで、国産車であればたいていの車が新車で買える程度になりました。(昨今のトランプ相場マターな部分も少なからずありますが。)

そういう金銭的な利益も勿論ですが、投資から学んだ知識や考え方は、日常生活から仕事に至るまで、ありとあらゆるところで生かすことができる点が何よりも有用です。

例えば金利の複利運用の効果については、かのアルベルト・アインシュタインが人類最大の発見と答えています。勉強や運動など、コツコツとした習慣が結果として絶大な効果を生むことは周知の事実でしょう。

また、リスクを取らなければ何も得られない事は、投資で成果を上げた人なら誰でも分かる事です。日常生活だって不確定要素(リスク)の選択の連続の上に築かれているにも関わらず、お金のことになったとたんに嫌悪するのもナンセンスでしょう。

そして世の中、頭で分かっていても難癖を付けて行動に移さない人が実に多い事にも気付かされます。ものの本によると、ベストセラーとなった名著であっても、購入した人のうちその大部分の人は実際には完読しないし、一定割合の人は読む事すらしないそうです。

そういった世の中の大半を占める人のために社会環境は整備されているため、実際に行動に移すことで彼ら(彼女ら)から、頭一つ抜きん出た存在になれるのは、実は当然のことなのです。

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